超能力戦士ドリアン&the quiet room『なかよしくらぶ』東京公演ライブレポート

超能力戦士ドリアンとthe quiet roomが、ツーマンライブ『なかよしくらぶ』を東京・Shibuya eggman、大阪・OSAKA CLUB GARDENにて開催した。

超能力戦士ドリアン(以下、ドリアン)とthe quiet room(以下、クワルー)。この2組がツーマンをすると聞いたら、どんな印象を抱くだろうか。企画を発表した際、SNSでは「合わなくない?」という声も見受けられたという。しかし、実際にライブを見た筆者の感想は、「2組の相性はめちゃめちゃ良い」だ。

超能力戦士ドリアン

2023年7月28日に行われた東京編、先攻はドリアン。やっさん(Gt/Vo)とけつぷり(Gt)がステージに登場し、「ゴリラのドラミングーチョキパー」でライブはスタートした。続いて中央にゴリラの着ぐるみが登場し、中から姿を現したのはもちろん、おーちくん(Vo)。1曲目から会場が笑いの渦に包まれた。

「今日のために新曲を持ってきました!」と披露されたのは、「天保山」の歌詞をクワルーネタにアレンジした曲名「the quiet room」。曲中では全身を使って「T」「Q」「R」の3文字を表現する振り付けもあり、観客も真似してポーズをつくった。

MCでは、「クワルーが機材車でよく「傘2」を聞いているらしい」「SNSに「傘2」の動画をあげると菊池くんが必ず反応してくる」と、クワルーとの仲の良さを語る場面も。そんなクワルーの曲名を引用し、「ドリアンなりの「かずかぞえ」」と披露された「レモン1個分のビタミンC」では、(指で1~5をカウントするのではなく)1のポーズが会場を満たした。

さらに人気曲「いきものがかりと同じ編成」が投下されると、会場の熱気はさらにヒートアップしていく。ところが、ラストサビに入る前でトラブルが発生。PCがフリーズしてしまい、音が出なくなってしまったのだ。

これではベースとドラムのパートが不足してしまうため、中断し次の曲へ移ることに。次の曲はクワルーもよく聞いている「傘2」ということで、なんと前田翔平(Ba)とサポートメンバーのぴのり(Dr)がピンチヒッターとして登場!急にもかかわらずベースとドラムパートをしっかりと補い、5人による熱い生演奏が響きわたった。思わぬトラブルだったが、貴重なコラボレーションを嬉しく思った人は多かっただろう。

「ヤマサキセイヤと同じ性別」では、現在のおーちくん、学生時代のおーちくん、学生時代の菊池遼(Vo/Gt)の写真を印刷した等身大パネルが登場し、フロアを3つに分けてどのブロックが1番速くパネルを運べるかを競い合った。(結果、柱があり運ぶ距離が短かった中央ブロックの勝利!)。

“ジェットコースターソロ”があることでお馴染みの「おいでよドリアンランド」では、菊池のパネルを安全バーに見立てて会場を笑いに包む。ラストは「焼肉屋さんの看板で牛さんが笑っているのおかしいね」を披露し、ドリアンらしい終始にぎやかなライブを届けた。

the quiet room

後攻、クワルーは「Prism」でライブをスタート。疾走感あふれるロックナンバーに、先程とは会場の雰囲気がガラッと変わったのがわかる。しかし、それもまた次の曲で一転、ライブ定番曲「Fressy」が投下されるとポップなムードに。イントロから自然とクラップが発生し、菊池も「クラップいいね!」と笑顔を見せる。

「俺たちなりの」と前置きして「かずかぞえ」を披露した後は、なんとドリアンの「焼肉屋さんの看板で牛さんが笑っているのおかしいね」をカバー。嬉しいサプライズにフロアのテンションも高まり、本家に負けないぐらいの盛り上がりだ。高い熱気を保ったまま、アップテンポなナンバー「Locus」で畳み掛け、その後は「グレイトエスケイプ」で1度クールダウン。こうして聞くとクワルーの楽曲は本当に曲調が幅広く、バンドのテーマである“表情豊かに生きる”を体現していると感じる。

バラード曲「知らない」では、4人の真っ直ぐであたたかな演奏が会場を包んだ。演奏後に菊池は「ドリアンには出せないような感じを出そうと思ったけど、感情込めすぎてなんかやりにくくなっちゃった(笑)」と、MCを斉藤弦(Gt)へバトンタッチ。斉藤は「やってみたかった」と、ドリアンのライブでお馴染みの「いいですかー?」「興味あるー!(観客)」のコール&レスポンスを再現し、会場は和やかなムードに包まれた。

「ドリアンとは音楽ジャンルは違うけれど、スタンスが似ていると思っていて。皆を楽しませようと真剣でしょ?僕たちも皆に楽しんで帰ってもらいたいと思っています!」

菊池がそう語った後は、「Landscape」のサビで手を左右に動かす振りを、演奏前に観客と“事前練習”。ドリアンも同じように曲開始前に盛り上げ方をレクチャーする場面が何度か見られたが、その様子には、初めてライブを見る人も決して置いていかない優しさを感じる。菊池が言う通り、両バンドとも「来てくれた人全員に楽しんでもらいたい」という想いが強くあるのだろう。その点で、ドリアンとクワルーはとても似ているように思う。

後半戦は今の季節にぴったりのサマーソング「(168)日のサマー」で熱を高め、海にちなんだナンバー「話をしよう」と続いた。一体感に満ちた会場に、「パレードは終わりさ」のサビではシンガロングが響きわたる。ラストは「あなたの背中を押せるように」と、爽やかな応援ソング「You」で締めくくった。

アンコール

「アンコールやりたいと思うんですけど、盛り上がってもらってもいいですかー?(斉藤)」「興味あるー!(観客)」のコール&レスポンスで幕を開けたアンコール。再びステージに戻ったクワルーが披露したのは、やっさんも好きだという「平成ナイトコウル」だ。通常なら冒頭部分はクラップがお決まりだが、斉藤が「傘2」の両手をぐるぐると回す振り付けを煽り、フロアの盛り上がり方はこの日だけ「傘2」仕様に。ラストサビではドリアンも合流し、7人が勢ぞろいしてのにぎやかな一幕となった。

その後、クワルーは2曲目に「Instant Girl」を披露し、会場のボルテージをまた1つ高めて終幕。……と思いきや、観客の「興味あるー!」コールによって、まさかのWアンコールが実現。この一体感に、まさに会場全体が“なかよしくらぶ”になっているのでは?と感じてしまう。楽しい雰囲気をさらに彩るように、クワルーは多幸感に満ちた楽曲「キャロラインの花束を」を演奏し、今度こそ本当にライブを締めくくった。

超能力戦士ドリアンとthe quiet room。一見、異色の組み合わせのように思えるが、両バンドの根底にあるものはきっと似ている。会場には両バンドのファンがそれぞれいて、一方のバンドを見たことがない人もいただろうが、不思議なことに会場はツーマンとは思えない一体感に満ちていた。それもドリアンとクワルーの相性の良さを表す証拠であり、どんな人も受け入れてくれるあたたかさが、2つのバンドには共通してあるように思えた。

MCでやっさんは、「今後もなかよしを増やしていきたい。全国を周りたいし、フェスとかもしたい」と語っていた。そんな風に“なかよしくらぶ”がどんどん大きくなっていくのを、筆者も見てみたい。2組が共演する日が、また一段と楽しみになったライブだった。

■2023.7.28 『なかよしくらぶ』 セットリスト@Shibuya eggman

【超能力戦士ドリアン】
1. ゴリラのドラミングーチョキパー
2. 家のお風呂でさっパーリーナイト
3. the quiet roomなかよしくらぶ(新曲)
4. レモン1個分のビタミンC
5. 猫の手を借りたら大変な事になった
6. ボールを奪い合う選手全員に1つずつあげたい
7. いきものがかりと同じ編成
8. 傘2
9. チャーハンパラパラパラダイス
10. ヤマサキセイヤと同じ性別ExtraSP
11. おいでよドリアンランド
12. 尊み秀吉天下統一
13. 焼肉屋さんの看板で牛さんが笑っているのおかしいね

【the quiet room】
1. Prism
2. Fressy
3. かずかぞえ
4. 焼肉屋さんの看板で牛さんが笑っているのおかしいね(超能力戦士ドリアン カバー)
5. Locus
6. グレイトエスケイプ
7. 知らない
8. Landscape
9. (168)日のサマー
10. 話をしよう
11. パレードは終わりさ
12. You
En1.平成ナイトコウル
En2.Instant Girl
W En.キャロラインの花束を

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