城西大学 高麗祭 2023 フレデリック ライブレポート

11月3日、3連休の初日は心地よい秋晴れの空。まさに学園祭にぴったりの気候の中、埼玉県にある城西大学 坂戸キャンパスにて『高麗祭』が開催された。フレデリックの4年ぶりの学園祭ライブは、初めてフレデリックを観た人が多いとは思えないほどの熱狂を生んでいた。

フレデリック ライブレポート

都内から少し距離にある立地にも関わらず、最寄りの川角駅からキャンパスへの道のりには、フレデリックのグッズを身に着けた人が大勢いた。自分自身もその一人だが、久しぶりの学園祭ライブ、やはり楽しみにしていた人が多いのだろう。大学の周りや学内には、自然が多く、のびやかな空気感が漂っていた。特に、会場である体育館から見える遠くの山々の稜線に、普段ディスプレイとにらめっこばかりしている筆者はかなり癒された。

フレデリックのライブは、登場時のSEから世界観に浸れるのも魅力の1つだが、そのSEが新しくなっていた。調べてみると、三原健司(Vo/Gt)がポリープ手術から復帰した直後のLIVE AZUMAから変わったらしい。以前のSEよりも、低音が強調され、深く、腹の底から突き動かされる感覚がライブへの高揚感を誘う。観客の手拍子が響き渡る中、健司、康司(Ba)、赤頭隆児(Gt)、高橋武(Dr)の4名が登場し、SEから間髪入れずに、「スパークルダンサー」を投下した。健司の”盛り上がっていこうぜー!”という声に、歓声が起き、高々と上がるたくさんの拳に、序盤から会場を巻き込む強さをいかんなく発揮していた。健司のボーカルは、やはり歌いやすくなったのだろうか、より伸びやかに、”hu~!”というようなフェイクを混ぜる遊び心も見え、楽しさを全開にして歌う姿にこちらも笑顔になった。

「YONA YONA DANCE」「KITAKU BEATS」というキラーチューンを2曲目、3曲目で披露し、最初のMCタイムでは、これまでの3年間に中止や制限のある中で学生生活を送ってきた学生に対するメッセージが健司の口から語られた。”大人が何かを守るために何かを犠牲にしてしまった過去があるけど、3年分を取り返す大人がいてもいいんじゃないかと思ってます!”とにかく今日のライブで思いっきり音楽を楽しんで欲しいという真っすぐな気持ちの込められた言葉は、学生の心に大きく響いたに違いない。

その刹那、<思い出にされるくらいなら 二度とあなたに歌わないよ>と「名悪役」(作詞:三原康司)が歌われることからも、言うだけじゃなくて、本気で行動しに来たというフレデリックの強い覚悟とも取れるような曲選びに痺れた。赤頭のミュートを効かせたリズミカルなギターと、ピンポイントにそれを照らすイエローと紫のライトによって一気にムーディな雰囲気に切り替えられ始まったのは「NEON PICNIC」だ。この日全体として、照明がかなり細かい音まで拾う素晴らしいオペレーションだったのも、体育館にいながらにしてライブハウスで聴いているかのように思えた理由の一つだったと思う。続けて、康司の脈打つベースに高橋の重みのあるビートが彩りを加えていくイントロから、低音アレンジバージョンの「ナイトステップ」を披露。中盤のセクションでは、ミドルテンポで大人っぽい雰囲気の曲が続けられることによって、勢いの良さだけではなく、フレデリックのライブにはこういった楽しみ方もあると伝えてくれる。個人的に低音版「ナイトステップ」は8月のロッキンぶりだが、今回屋内のステージということで、よりくっきりとした音で味わうことができ、最高だった。

ここでワンマンライブのフレデリックらしく、ゆるやかな話題でのMCが始まった。健司が学園祭の”可能性は無限大!”というスローガンが体育会系みたいで気に入ったという話をしたり、実際にキャンパスを回った赤頭が”けんすいの回数で焼き鳥の本数が決まる店があった。”など、なぜか筋肉っぽいトークの流れができていたので思わず笑ってしまった。

高橋の弾むようなワクワクするドラムのイントロから入っていく「Wake Me Up」に一瞬でまた音楽の世界に引きずり込まれ、冒頭のギターリフに合わせて大きな手拍子が起こった「シンセンス」では、間奏で短いながらもソロ回しがあり、ライブならではの演出が嬉しかった。ラスト2曲は「ジャンキー」と「オドループ」を臨場感たっぷりのイントロアレンジで観客のエネルギーをこれでもかというほどに上昇させた状態から披露した。特に「オドループ」では、ギターソロで赤頭が腕まくりをし、先ほどのMCを意識した筋肉アピールをしたり、上手でベースを弾いている康司が下手まで動いて演奏するなど、アクティブなパフォーマンスをみせ、視覚的にも楽しいライブとなっていた。また、今日初めて観る人が多い環境でも、サビの部分は大合唱できたことから、この曲の知名度の高さをまざまざと感じた。満足度の高い内容だったからか、本当に一瞬で時間が過ぎたライブ本編であった。

アンコールでは登場するなり、健司が”ワンマンツアー、この盛り上がりより、下がってたら、真剣に怒ります!”と冗談めいたことを言うが、その表情は漫勉の笑みだった。今日の学園祭が良いものになったと本人も思っている様子で、やはりステージ上にいる人が楽しそうなのが頼もしいと思った。
そして、最後の曲に入る前、一対一での音楽に拘る熱い想いを語った健司のMCがこのライブで一番印象に残った。

“この先俺らが、40になっても50になっても60になっても、今までで一番かっこいいライブをするし、ちゃんと一対一で音楽をしようと思います。あなたが10代であろうが20代であろうが30代であろうがそれ以上であろうが関係ない。あなたの子どもが生まれたとしても、孫が生まれたとしても、その子どもや孫にもちゃんと一対一で音楽を伝えていけるように、これからもがんばります。”

世の中には本当に、本当に、色々な人がいる。そのような存在がいる未来がどうしたって描けない人もいると思う。けれど、まだまったく見えないような先の未来に対してさえも想像力を働かせ、真摯に一対一で向き合っていく覚悟の1つの例えであると、これまでのフレデリックの軌跡があるからこそ、素直に受け取れるメッセージだった。

繋がるようにして披露された「オンリーワンダー」(作詞:三原康司)の歌詞はまさに、一対一、一人だけのかけがえのない自分自身の存在を肯定し、相手のことも同じように大切にしようというもので、観客、学園祭スタッフ、ライブスタッフそしてフレデリックの一人ひとりが作り上げた特別なこのライブの締めくくりにあまりにもマッチしていた。

<だから あなたはあなた わたしはわたし 君は君なんだ 扉を開くのは君じゃないのか>

この曲にこれまでも何度も奮い立たされてきたけれど、このライブを観たらさらにこの曲の自分の中での存在が大きくなった。

最近は仕事に忙殺されがちでモヤモヤの多い日々だったが、学生たちや観客にエールを送る自分と同世代のフレデリックのライブを観て、「自分自身も、若者に希望を与えることができるような前向きな大人でありたい」と襟を正してもらった。

2023.11.03 『城西大学 高麗祭』 フレデリック セットリスト

01.スパークルダンサー
02.YONA YONA DANCE
03.KITAKU BEATS
04.名悪役
05.NEON PICNIC
06.ナイトステップ
07.Wake Me Up
08.シンセンス
09.ジャンキー
10.オドループ
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11.オンリーワンダー

オンリーワンダーMusic Video

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