the quiet room『one-man Tour 2023-2024 “不時着する運命たち”』ライブレポート

「いつかZeppでワンマンをやりたい」
過去のライブで、彼らがそう発言していたのを何度か聞いている。

2024年1月14日、その夢が形となった日。
the quiet room(以下、クワルー)のツアー『the quiet room one-man Tour 2023-2024 “不時着する運命たち”』、ファイナル公演がZepp Shinjuku (TOKYO)にて行われた。

the quiet room@Zepp Shinjuku ライブレポート

ステージに菊池遼(Vo/Gt)、斉藤弦(Gt)、前田翔平(Ba)とサポートメンバーのぴのり(Dr)が登場し、ライブはポップなラブソング「Tsubomi」でスタート。ライブ定番曲「Fressy」、「知りたい」「平成ナイトコウル」とアッパーチューンを立て続けに披露し、序盤から一気に会場を盛り上げていく。

最初のMCで「今日は今までで1番大きな会場、そして1番多くの人に集まっていただきました。ありがとうございます!」と感謝を述べた菊池。気合いが入って弦を強く押さえすぎてしまい、指から少し血が出ていると言って観客を驚かせる。
一方、それを聞いた斉藤も、実はリハーサルのときに同じ状態だったと告白。その発言を聞くだけでも、今日のライブにかける彼らの強い想いが伝わってくる。

続いて届けられたのは、コロナ禍に制作された曲であり、2021年にリリースされた1stアルバム『花束のかわりに』に収録されている「Leo (a new day)」。
演奏前、菊池は「コロナ禍で音楽を辞めようかと思ったこともあった」と語っていた。それでも彼らは続けることを選んだ。着実に歩みを進めた先に辿り着いたのが、今日このZepp Shinjukuでのツアーファイナルだったのだ。

観客のクラップが華を添えた「Twinkle Star Girl」の後は、力強いロックナンバー「Vertigo」でギアをまた一段と上げていく。間奏ではぴのり、斉藤、前田が華麗なソロ回しでフロアを沸かせた。

ライブ中盤は、SNSで聴きたい曲を募った際にリクエストが多かったものを披露していくという。「恋を終わらせよう」「カフネ」としっとりしたバラードが続き、4人の優しい演奏が会場を満たした。
そこから、軽快なビートが響いて「夢で会えたら」へ。ラストサビ前の部分の歌唱を観客に委ね、あたたかなクラップも相まって会場が一体感に満ちていた。

後半戦は冬の寒さを吹き飛ばすように、「(168)日のサマー」で熱くスタート。「今のであたたまったから声出せるよね?」とフロアを煽ると、サビのシンガロングパートが特徴的な「パレードは終わりさ」に繋げ、再び会場を1つにしていく。
あたたかな雰囲気の中で「キャロラインの花束を」を届け、ラストはキラーチューン「Instant Girl」で会場の熱気を最高潮に引き上げた。

アンコールでは主催ライブ『New Flag Festival 2024』とツーマンツアー『the quiet room Tour 2024 “ひと粒のうたを分け合って” 』の開催を発表。さらに11月末にリリースされた最新曲「Nowplaying」を届けた。
ラストは「Happy End」を披露し終幕……と思いきや、再びステージに戻ったメンバーは「もう1曲やっていい?」と「You」をパフォーマンス。思いがけないダブルアンコールで観客を沸かせ、力強くライブを締めくくった。

“不時着する運命たち”というツアータイトルには、音楽を必要としているときに“不時着できるような”=心の拠り所となれるようなバンドでありたいという想いが込められているという。
私自身はクワルーの音楽にいつも明るい気持ちにさせてもらっているし、今日ライブを訪れた人たちも皆そうなのだろうと、笑顔で会場を出ていく観客の顔を見ながら思った。

私たちに優しく寄り添ってくれる音楽を持って、クワルーはまたいつでもライブハウスで待っていてくれるだろう。初のZeppワンマンという夢を叶えた先、彼らが今度はどんな景色を見せてくれるのかを楽しみにしている。

■2024.1.14 『the quiet room one-man Tour 2023-2024 “不時着する運命たち”』セットリスト@ Zepp Shinjuku

1. Tsubomi
2. Fressy
3. 知りたい
4. 平成ナイトコウル
5. Leo (a new day)
6. ノンフィクションの日々に捧ぐ
7. Twinkle Star Girl
8. Vertigo
9. グレイトエスケイプ
10. 悪い癖
11. 恋を終わらせよう
12. カフネ
13. 夢で会えたら
14. (168)日のサマー
15. パレードは終わりさ
16. キャロラインの花束を
17. Instant Girl
En1. Nowplaying
En2. Happy End
W En.You

【関連記事】

関連記事一覧