PALM百狼夜行

2022.12.17 PALMライブレポート@新大久保EARTHDOM

2022年12月17日、日本で長年アンダーグラウンドシーンを牽引しているバンド・鐡槌が主催するライブ「百狼夜行」がEARTHDOMで開催された。
出演者5組の中3番手に登場したのは、大阪のハードコアパンクバンドPALMだ。PALMは国内外で精力的にライブを行っており、現在の日本のハードコアシーンを代表すると言っても過言ではない。

そんなPALMのライブは”To Live Is To Die, To Die Is To Live”から始まった。
EARTHDOM特有のフロアにせり出したスピーカーから、ヘヴィな音とともに「ゴスッ、ゴスッ」とVo.Toshiが自らの額をマイクで殴る音が響く。この鈍い音を聞くと、PALMのライブが始まる!と高揚感でいっぱいになるのだが、どうやらそれは私だけではなかったようだ。鈍い音が鳴る度にフロアからは歓声が沸く。

そして2曲目”Rot Away”に突入するやいなや、限界まで高められた興奮を解き放つかのようにフロアが爆発した。Toshiは激しく体を震わせながらマイクに乗り切らないほどの叫びをし、観客はモッシュ、ステージダイブ、シンガロングでそれに応える。Dr.のKentaが高速ブラストビートを繰り広げ、そこに重厚なギターとベースが加わって観客の体を揺らす。ライブが進むにつれてそのムーブは激しさを増していき、会場全体が熱気に包まれていく。

5曲披露したあたりでMCに入り、Toshiが予想外の盛り上がりに喜びの言葉を口にする。さらにその後に続くMCが、この日一番印象に残った。
「いろんな人がいて考え方も違うし守りたいものも違うだろうし」「でもいいなと思ったら一緒に楽しんでくれると嬉しいです」と。

この日出演していたバンドは、それぞれがある種信念を強く持って活動してきたバンドばかりだ。それ自体は変わった話ではなく、音楽は古くから社会情勢や思想と深く結びついて発展してきた一面があるし、ハードコアも例外ではない。そのムーブメントは時に断絶や対立を生んだこともあったと思う。
だが、この場では世代や考え方、音楽性も異なるバンドや人が集まり、それをフロアも受け入れている。思想信条や表現の仕方が異なっても相手をリスペクトして受け入れる今の音楽シーンの素晴らしさを、このMCを聞いて改めて実感したのだ。
ふと、世の中で起きている争いごとも、音楽のように寛容な心を人々が持ち合わせていたらいいのに。思わずそんな風に考えてしまった。

PALMはこの日11曲披露し、最後まで熱を保ったまま40分を駆け抜けた。先のMCといい、PALMはこれから先ももっと自由で突き抜けた姿を見せてくれることだろう。

2022.11.17 PALM@新大久保EARTHDOMセットリスト
1.To Live Is To Die, To Die Is To Live
2.Rot Away
3.Dedicated To Humanity
4.Scapegoat
5.新曲
6.Fighting the Darkness
7.音我苦
8.Call The Disorder
9.新曲
10.ex Owner is fucked
11.Holy Outsiders

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