朗読劇『スプーンの盾』、アンソロジー『これが最後の仕事になる』|編集部の伝えたい!【2025年1月】
【2025年1月のトピックス】
・何度もおかわりしたくなる朗読劇『スプーンの盾』
・アンソロジー『これが最後の仕事になる』
何度もおかわりしたくなる朗読劇『スプーンの盾』
しとしとと雨が降る1月6日の夜、日比谷シアタークリエで「プレミア音楽朗読劇 VOICARION XIX『スプーンの盾』」を観劇してきました。
実は『スプーンの盾』を観るのは2回目。2023年にも一度観劇しており、その時あまりにも感動して、「次は違うキャストで観てみたい!」と思い、チケットを手に入れて再び足を運びました。
物語の詳細なあらすじについては、ぜひ公式サイトを確認していただければと思うのですが、この物語はフランス革命後の「料理外交」と、それにまつわる人間模様を描いた作品です。
切ないストーリー、生演奏で美しく奏でられる音楽、世界観を増幅させる演出など、心揺さぶられる要素がいくつもあります。特に、気迫あふれるキャストの演技を目の当たりにした瞬間は思わず涙がこぼれました。
演じるキャストが変わることで、同じ登場人物でも性格や想像される容姿が異なり、全く違った魅力を楽しむことができました。もし、今後また再演されるようであれば、観に行きたいと思っています。
『スプーンの盾』は、何度もおかわりしたくなる極上の朗読劇です。
(miku)
アンソロジー『これが最後の仕事になる』
最近読んだ『これが最後の仕事になる』(講談社)という本が面白かったので紹介します。
タイトルに惹かれて購入したので、読み終えるまで知らなかったのですが、講談社の「メフィストリーダーズクラブ」で公開されたショートショート集の第3弾だそうです。収録の24作品はすべて「これが最後の仕事になる」という1行で始まります。
定年退職を迎える教師、アルバイトを辞める学生、グループを卒業するアイドル、客からの頼みごとを受けたホスト、最期の作品に取り掛かる画家……同じ「最後の仕事」でも、シチュエーションはさまざま。読む前に「転職前の会社での最終出社日」みたいな物語しか想像できなかった自分が情けなくなるぐらい、多種多様な内容に楽しませていただきました。
心が温まる話もありますが、わりと最後にゾッとさせるような作品が多いので、イヤミス好きな方におすすめかもしれません。(私はイヤミス大好きです 笑)
印象に残ったのは、呉勝浩さんの「半分では足りない」。性格が正反対の双子が部屋で話し合う様子を描いた作品で、これだけ書くと「一体どこが最後の仕事なの?」となりそうですが……そうきたか、と。
さくっと読めるので、すきま時間の読書にいかがでしょうか?
(かなざわまゆ)
【2025年1月に公開した記事】