
Aqua Timez『Re:visit tour 2025』@広島・JMSアステールプラザ ライブレポート
2025年にデビュー20周年を迎えるにあたり、昨年夏に期間限定の再結成を発表したAqua Timez。3月から8月にかけて開催された全国ホールツアー『Aqua Timez Re:visit tour 2025』は、“旅”というコンセプトで届けられた。
『Aqua Timez Re:visit tour 2025』ライブレポート
筆者が訪れたのは、4月27日に行われた広島・JMSアステールプラザ公演。Aqua Timezにとって、再結成後初の広島でのライブである。
スクリーンに流れるのは、RPG風のオープニング映像。メンバーを模したゲームキャラクターが登場し、まずは太志(Vo)がOKP-STAR(Ba)と出会い、しばらくして大介(Gt)、mayuko(Key)、TASSHI(Dr)が合流する。
映像が切り替わり、今度は有名な映画の冒頭をオマージュしたようなテキストが浮かび上がる。「使命を終え、それぞれの道を歩き出した」「しかし、再び音楽を届けるために再集結した」──そう、結成から解散、再結成と、実際のバンドのストーリーがなぞらえた内容になっているのだ。
そして、最後にはこう記されていた。「ここに辿り着いた──広島・JMSアステールプラザ」。
この日を待っていた観客の拍手が沸き起こるなかで、「音速の風景」が流れ出し、メンバーが静かにステージに姿を現す。5人がそろったところで、「オーロラの降る夜」へと繋がっていく。2012年にリリースされたアルバム『because you are you』の冒頭と同じ流れである。ふと当時の日々が蘇り、音楽は記憶とともに刻まれていくものなのだと実感する。
続く「ALONES」でさらに懐かしさに浸っていると、今度は再結成後に初めて発表された楽曲「ヒトシズク」が奏でられる。新旧の楽曲が織り交ぜられたライブは、止まっていた時間が埋められていくようでもあった。
今回のツアーでは、ホール公演だからこそ可能な映像の演出が光っていた。
まるで旅先で出会った美しい景色を目に焼きつけるように、「オムレット」では華やかな街の様子が映し出される。だんだんと夜が近づいてきて、「千の夜をこえて」では静かな湖畔が目の前に広がる。澄み切った水と、空に浮かぶ明るい月。そこに寄り添う優しいバンドサウンドを聴きながら、人が人を愛する尊さを映像と歌で表現したらこんなステージが出来上がるのだと思った。
「hana〜Evalasting〜」「ひとつだけ」「Pascal」の3曲はアコースティック編成で届けられた。5人のあたたかな音楽とともに、一晩を過ごしているような気分になる。
そこから続いたのは、「決意の朝に」。どうやら夜が明け、出発の時が来たらしい。
太志が客席へそっとマイクを向ける。どれだけ多くの人がこの曲に救われてきたのだろう。1コーラスが大勢の観客の歌声によって紡がれていた。
そして、続く「カルペ・ディエム」という“別れ”を想起させる楽曲が、ライブも後半に差し掛かっていることを感じさせる。そこからの〈後ろを向いたまま 前には進めず/進むということは 後ろに背を向ける事だ〉1 と歌う「LOST PARADE」は、「私たちが明日からも前に進めるように」というエールをこめてのものかもしれない。
「Fly Fish」、「深呼吸の理由」、「MASK」を経て、観客のクラップが彩る「虹」へと繋がっていく。〈二つの空がやっと やっと 一つになって/僕らを走らせるんだ〉2 ──再会と、また走り出すことがこの曲で示されたうえで、ライブは「Re:BIRTH」で締めくくられた。
アンコールでは「12月のひまわり」、さらに12月26日、27日に国立代々木競技場 第一体育館にて開催されるラストライブのタイトルにも冠された「OLDROSE」が披露された。
バンドは8月24日にデビュー20周年を迎える。その直後の8月30日、31日には、東京ガーデンシアターにて開催される『Aqua Timez 20th Thanksgiving Live「空いっぱいに奏でる祈り」』も控えている。
全国ツアーは幕を閉じたが、昨年から再び始まったバンドの旅路は、もう少し続いていくのだ。ここから2025年末まで、きっとまだまだ美しい景色が待っていることだろう。
1 Aqua Timez「LOST PARADE」(作詞:太志)より歌詞を引用。
2 Aqua Timez「虹」(作詞:太志)より歌詞を引用。
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