
音楽だけが寄り添ってくれる|UVERworld“α-Skill”レビュー
孤独を感じた時、自分に自信が持てない時、お守りのように聴く曲がある。
UVERworldの“α-Skill”だ。
〈音楽だけが 孤独を包み寄り添ってくれる 閉じた心の隙間からでも 生きる意味をくれる〉1
曲の中にあるこの言葉が、じんわりと温度を持って心に寄り添ってくれる。
UVERworld“α-Skill”レビュー
“α-Skill”は、2023年7月にリリースされたUVERworldのアルバム、『ENIGMASIS』に収録されている。
UVERworldのイメージと言えば、「熱い」「ストイック」といった言葉が思い浮かぶのではないだろうか。
少なくともファンである私はそう思っているし、実際に彼らのそういった一面に強く惹かれている。歌詞にも、反骨精神や常に高みを目指す姿勢がよく表れている。
しかし、“α-Skill”で歌われているのは、「素敵な歌を歌っている人に嫉妬し、卑しい気持ちを抱いてしまう」という、ネガティブな感情だ。音楽を誰よりも愛し、表現する側にいるからこそ抱く悩みなのだろう。
だが、その感情は決して私たちと無縁なものではない。「自分で決めたことが呪いとなり、自らを苦しめる」普段会社員として働く自分でも、そんなふうに感じる瞬間がある。そんな苦しい時にこの曲を聴くと、憧れの彼らと自分に共通点があることに、少しほっとする。
この曲は、そんな負の感情を受け入れた上で、それでも自らを信じて進んでいく、と決意を新たにする。自らを苦しめるものは音楽だが、人の心を救うのも音楽だ、と希望を見出していく。
どんなに苦しい時でも音楽だけは味方でいてくれることを、この曲が改めて教えてくれる。
曲の前半はピアノの伴奏と歌のみのシンプルな構成で、そこにギターやドラム、ベースが重なり、曲に少しずつ色が付いていく。音のグラデーションが美しいのもこの曲の魅力だ。
最後は、〈そしていつか 選ばれずに持たざる君が 僕に自分を投影し 起こす奇跡〉1という言葉で締めくくられる。
「私もいつか、必ず……」そう自分を奮い立たせ、前を向かせてくれる一節だ。
現状が上手くいかないと感じている人、モヤモヤとした気持ちを抱いている人、そんな人たちにぜひ聴いてほしい。
音楽があればきっと私たちは、どこまでも歩みを進められる。
1 UVERworld “α-Skill”(作詞:TAKUYA∞)より歌詞を引用。
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