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愛しているあなたの人生を見てた。|ゆっきゅん『生まれ変わらないあなたを』発売記念インタビュー

DIVAとして活躍するゆっきゅんが9月11日(水)に2年半ぶりとなる2ndアルバム『生まれ変わらないあなたを』をリリースした。本アルバムは活動10周年のアニバーサリーイヤーに発売ということで、バンドサウンドを採用し、友人たちをメインで制作陣に迎えるなど、これまでのテイストとは一味違った楽曲群が印象深い仕上がりとなっている。

ゆっきゅんは、既存のJ-POPへ答えを出しながら更に更新する気持ちで『生まれ変わらないあなたを』の制作に挑んだという。本記事では、そんなゆっきゅんが意識したという「人生」や「友達」にフォーカスを当て、友人たちとの制作秘話に迫っていく。

──アルバムのタイトル『生まれ変わらないあなたを』を初めて見たとき、とても印象的なタイトルだと感じました。こちらのアルバムはどのような経緯・コンセプトで制作されたのでしょうか?

ゆっきゅんタイトルは『ログアウト・ボーナス』の最後の歌詞<生まれ変わらないあなたを私が見てる>から来ていて、アルバムを作る初期の段階でこのタイトルにすることは決まっていました。
制作は昨年の9月にえんぷていの奥中くんが『ログアウト・ボーナス』の歌詞に曲をつけたデモを作ってくれたところから、まず私の頭の中で始まりました。この曲を大切にしたいけど、バンドのサウンドを取り入れたことはなく、今までは四つ打ち命のメロディアスダンサーでしたので、この曲が浮かないようにするにはどうしよう、ならもっと色んなサウンドを取り入れたものを作ろうというところが音楽的な出発だったと思います。
コンセプトとしてはタイトルの通り、さまざまな人間の気持ちを歌いたくて、12人分の人生の瞬間をオムニバス映画として撮るような心持ちで制作に挑みました。

アルバムタイトルのきっかけとなった、退職讃歌『ログアウト・ボーナス』

──本作はバンドサウンドを大事にしたとお聞きしました。制作陣には名だたるアーティストの方※が参加されていますが、どの楽曲を聴いても不思議と「あ、DIVA(ゆっきゅん)のための曲だ!」と感じます。
制作を様々な方に依頼するとなると自身の作りたいものや世界観を伝えるのに苦戦するイメージなのですが、ゆっきゅんさんは制作陣とどのようなやり取りをしているのでしょうか?

※本アルバムでは、えんぷてい 奥中康一郎(M1/M11)・鯵野滑郎(M2/12)・君島大空(M3)・ラブリーサマーちゃん(M6)・児玉雨子(M8)・梅井美咲(M10)など著名なアーティストらが制作陣として参加している。

ゆっきゅん:今回の制作環境のテーマとして、同世代の友達と最高の仕事をする、というのが一つありました。だから元々交友関係のある人と一緒に楽曲を作る喜びがずっとあり、ディスコミュニケーションや意思の疎通ができずに行き詰まるという時間はなかったように思います。
私の中のイメージが明確なので、作りたいものを伝える時に苦戦はしません。楽曲のリファレンス(参考)を伝えたり、映画のワンシーンを見てもらったり、LINEのアルバムに画像をまとめたり、主人公の性格と物語を先に伝えたり、楽曲や作曲家によって私の伝え方もさまざまですが、みなさんものすごい汲みとり力で理解をしてくれてさらにイメージを広げてくれるので、楽しくて仕方ないです。それで向こうも楽しそうだと嬉しくて泣けてきます。
写真家の方とビジュアルを作る時にも、打ち合わせの日には写真集や雑誌など、たくさんの資料を私が持って行ってプレゼンするところから始まります。全体的に今回は私の今までの作品を知ってくれている方と一緒にやることが多かったので、私がどういう人間なのか歌ってきたことによってやりたいことの方向性や趣味は既にバレていて、だからスムーズでもあったと思います。

──ゆっきゅんさんは大学院ご卒業から現在に至るまでDIVAとしてご活躍中です。いわゆるアーティストやフリーランスとしての働き方に近いかと思うのですが、『ログアウト・ボーナス』を筆頭に、歌詞を拝見していると「転職」や「退職後の喪失感」などの解像度が非常に高いと感じます。このようなリアルな描写は、どのようにして作詞されているのか教えて頂きたいです。ご自身の経験や、ファンの方々の転職エピソードも発想源となっているのでしょうか?

ゆっきゅん歌詞については「こうやって書いています」と言えるような方法論やスタイルがまだ確立されておらず、もし方法論が掴めそうになったら全力で手癖からは逃げようと思っているので、曲ごとに様々だったり、その記憶が消えていたりします。ただ、私がやりたかったのは、見逃さないことです。なにか新しいことを歌おうというよりも、そこにあるのにまだ歌われていない情景を見逃さないでいよう、ちゃんと見ていよう、知っていることを伝えようという意識は、あったように思います。
さまざまな経験の断片が折り重なって舞い上がり、人々の黙り込んだ横顔から、声が、聴こえるように降りてくるときがあります。

──本アルバムでは、『Re:日帰りで–lovely summer mix』『遅刻』『lucky cat』『次行かない次』など恋愛について触れられている楽曲群も印象的です。昨年リリースされた『隕石でごめんなさい』では、ゆっきゅんさんの後ろを歩いていた男子大学生の会話内容(京都を一人で移動していた際、偶然耳にした「ミキ(仮名)」の恋愛話)が反映されているとお聞きしました。
本作の恋愛ソングはどのようにして制作されたのでしょうか?

ゆっきゅん:この世はラブソングばかりだと揶揄されることがあります。でもそれは、つまらないラブソングばかりだからなんじゃないかと思っていて、面白いラブソングを増やしたい気持ちでラブソングを書いています。恋愛なんて描き尽くされているので、どこかの部分でラブソング/失恋ソングを更新するぞという気概で、特に『次行かない次』は作詞しました。

ゆっきゅんの既存曲『日帰りで』を、友人のラブリーサマーちゃんがリミックスした本曲

──本アルバムはご友人の皆さまと一緒に作り上げたとお聞きしました。特に君島大空さんとは出会ってから1年も経たずに北海道旅行へ行ったり、楽曲『プライベート・スーパースタ』のリリースに至っています。気の置けない関係になるまでのスピード感に驚いたのですが、なにかきっかけはあったのでしょうか?

ゆっきゅん:お互いの魅力が引き寄せあったのでしょう・・・。ここまで一人で走ってきたんだよねってことがすぐにわかったから。

親交のある君島大空との合作『プライベート・スーパースター』が話題を呼んだ

──君島大空さんとのご関係について質問させていただきました。
私自身、大人になってから気の置けない友人を作ることの難しさを実感しているのですが、友人・対人関係でゆっきゅんさんが大事にしている点を教えて頂けますと幸いです。

ゆっきゅん:申し訳ないんですが、特にわからないですね…。私は楽曲の中で友情を歌うことが多く、たしかに友人もいますが、友情や人間関係の構築・持続に詳しいというわけでは全然ないんです。
大切な人がいて、大切なことがあるというだけというか。友人たちみんなにすこやかに生きてくれたらいいなと思っています。
あーでも友人が大人になっても増えるのは、こうやって歌を歌って、自分がどういう人間であるか表明しているからかもしれなくて、だから友達増やしたかったら、歌、やりましょう(暴論)。

──ゆっきゅんさんのファンは「本当に自分の命が輝くことのできる場所」を探している方が多いとお聞きしました。
自分にとって最適な場所を探す日々の中で、『生まれ変わらないあなたを』をお守りのように聴かれる方もいらっしゃると思います。ファンに、そしてこれからゆっきゅんさんに出会う未来のリスナーに、何かメッセージを頂きたいです。

ゆっきゅん:どうか、聴きたいように聴いてください。そして必ず、最高の人生をお送りください!いま聴いてくれているひとも、これから聴いてくれる人のことも、愛しています。

ゆっきゅん 2nd Full Album『生まれ変わらないあなたを』ジャケット画像

ゆっきゅん 2nd Full Album『生まれ変わらないあなたを』
通常版 ¥3,000(税込)/DVD付き初回限定盤 ¥5,000(税込) 
1.ログアウト・ボーナス 
2.幼なじみになりそう! 
3.プライベート・スーパースター
4.かけがえながり 
5.年一 
6.Re: 日帰りで – lovely summer mix 
7.遅刻
8.だってシンデレラ 
9.lucky cat 
10.シャトルバス 
11.次行かない次
12.いつでも会えるよ

<<ゆっきゅんコメント>>
あなたのことだけは見逃したくなくて、
今ここにある友情も孤独も仕事も恋愛も人生も東京も、
もっと季節の隅々に届く音楽になるはずだと、
どうしても自分のことを諦めきれずに、
12曲、12人の人生の一瞬をじっと見つめるように、
あなたの心を勝手に信じて、
30歳を前にこのアルバムを友達たちと作りました。
無職のグリーン車、のどごしが違う。
フードコートに同い年がいない。誰にも何も思われたくない。
学校じゃ出会えなかったら大切にしたいんだ。
ありえない孤独を宝物って教えてくれた君が好き。僕の前では頑張らないでくれ。
この動画で速度制限来てもいいと思って見てた。1年で1番、傷つきやすくなる日。
手を繋いで街を走ろうよ、大人でも友達でもいいじゃん。変な空気にしていいんだよ、この店。
自分の心に遅刻した。
本当の気持ちを言える人はいる?
見られなくなっても、踊らされず踊り続けていたい。
落ち着けないよ、心の壁が派手になる。
君を忘れたくて強くなったっけ。
次行こ次って言われても、バスケをやってたわけじゃない。あたしの大切な失恋、したいようにする。
好きな人より大事なのに約束ないともうダメかな?君が、僕の、二十代──。
生まれ変わらないあなたを私が見てる。
ていうか見てたんです、ほんとに!

<アルバム発売記念・イベント情報>
9/14(土)ゆっきゅん『生まれ変わらないあなたを』Release Party
〜発売週のライブ のどごしが違う〜
会場:渋谷スターラウンジ
開場 17:00/開演 17:30 料金:前売り¥3,500-

ゆっきゅん『生まれ変わらないあなたを』特設サイト
全歌詞/全曲書き下ろしライナーノーツ/配信・通販・ライブのリンク/友人・著名人の方々からのコメント/リスナーが直接感想を書き込める掲示板など、とても魅力的な内容となっている。

1995年・岡山県出身。
2014年に 大学進学を機に上京し、「ゆっきゅん」として活動を始める。青山学院大学大学院文学研究科比較芸術学専攻修了。
2016年よりアイドルユニット「電影と少年CQ」のメンバーとして活動。
2021年ゆっきゅんのソロプロジェクトである『DIVA Project』を始動。
同年、5月30日に1stシングル「DIVA ME/片想いフラペチーノ」を配信リリースし、一躍注目を集める。
2022年3月30日に1stアルバム『DIVA YOU』をリリース。
活動10周年・20代ラストイヤーに約2年半ぶりとなる2024年9月11日に2ndアルバム『生まれ変わらないあなたを』を発売。
音楽活動の他、映画やカルチャーへの豊富な知識を活かし、TBS Podcast『Y2K新書』への出演やメディアへの執筆業も行う。
ゆっきゅんの公式SNS▷ ゆっきゅん公式サイト / ゆっきゅんX / ゆっきゅんInstagram

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