NOISEMAKERフライヤー

NOISEMAKER@Zepp DiverCity ライブレポート|19年間の歩みと未来への期待が高まる圧巻のライブ

突然だが、今、私の左手は使い物にならない状態である。親指を打撲し、左手に物が触れると激痛が走るためこの文章をほぼ右手だけで書いている。
そんな状況でも書かなければならない、と2023年8月18日のNOISEMAKERのZepp DiverCityでのライブを観て思った。それぐらい素晴らしいライブで、記憶が鮮明なうちに文章に残しておきたい。

NOISEMAKERの19年間の歩みとこれからの期待が高まる、多幸感あふれる素晴らしいライブだった。

NOISEMAKER「ROAD TO 20th ANNIVERSARY ZEPP TOUR」Zepp DiverCity公演ライブレポート

SEにあわせて、ステージに掲げられている『GOLD IMPRINTS』のシンボルが照らし出される。NOISEMAKERのキャリア初となるZeppワンマンライブが始まる。
メンバーがステージに登場し、AG(Vo.)が「東京!今日も連れてってやるぜ!」と高らかに宣言。フロアからは「待ってました!」とばかりに歓声が沸く。

一曲目は“LAST FOREVER”だ。リズム隊のどっしりとした低音とサビの電子音が印象的なダンスナンバーに、一曲目から観客は思い思いに踊る。
続いて“One Dream One Roof”のイントロが鳴ると一気に空気が変わり、先ほどのクラブのようなダンスフロアから一転してダイバーが続々と発生するアグレッシブなライブに。AGも観客に向かって飛び込み、会場全体の熱が一気に増す。
そこから、HIDE(Gt.)の鋭いギターソロが痺れる“MAJOR-MINOR”、疾走感あふれる“SADVENTURES”と、観客を一切休ませないセットリストで序盤から飛ばしまくる。

「このZeppツアーは、来年の20周年を皆にお祝いしてもらうためのツアーです」とAGが話せば、フロアからは大きな拍手が起こる。この会場にいる誰もがNOISEMAKERを祝福している。会場内には確かな温かい空気があり、その事実だけで胸がいっぱいになりそうだった。

相変わらずMCで噛んでしまいがちなAG、HIDEの「20年間本当にいろんなことがありました。…何があったけ?」というボケ、選挙演説のような口調で話すUTA(Dr.)、ヘチマの話でスベるYU-KI(Ba.)など、熱気あふれるライブとは裏腹にMCの緩やかな空気感が非常に微笑ましい。
だが、Zeppという大きい会場で変に肩の力を入れず、リラックスした状態でプレイできているであろうことがこの様子からも感じられた。

「ダサいまま続けてきた。けど、このダサいまま行くのが俺たちだ」と言って始まったのは“NAME”。青いライトがステージ上のメンバーを美しく照らし出す。
この日演奏された曲の多くが、これまでのNOISEMAKERの歩みを振り返る言葉とともに始まり、それを証明するかのような選曲だったのが印象的だ。このZeppツアーにかけるメンバーの想いの強さが感じられた。
そしてAGは「お前たちと音楽を続けていく!」と繰り返し、これから先描く未来にはここにいる観客も含まれていることがとても嬉しかった。

中盤になると、“Flag”、“Mouse Trap”、“THE NEW ERA”など、2013~2016年頃にリリースした曲をショートバージョンで立て続けに披露。「10年以上前に作った曲」と言って始まった“SOMEBODY WANTS DAYS YOU CLOSE”と、どの曲も色あせることなく輝きを放っていた。
ファンからのリクエストが多かった“Because”も披露され、会場が一体となって歌い上げる。ファンからの「普段聴けない曲も聴きたい」という要望にしっかりと応えてくれる優しさも、彼らの魅力の一つだ。

ステージにゴスペル隊が登場すると、「全員幸せになっちまえ!」というAGの言葉とともに新曲“NO WONDER”が放たれる。この曲がただただ素晴らしかった。ゴスペル隊のコーラスが多幸感溢れる空気を作り出し、下から上へとメンバーを照らし出す照明がドラマチックさを増幅させる。
〈There’s no wonder,wonder,wonder(何も不思議なことじゃない)〉1と繰り返されるこの曲は、聴いている者の人生を肯定してくれ、これから多くの人の背中を押す新たな名曲になることは間違いない。多くの人に聴いてもらいたい一曲だ。

その後も“YayYayYayYayYayYayYayYay”、“Better Days”をゴスペル隊と一緒に歌い、ライブ本編は幕を閉じた。

希望溢れるクワイア的楽曲の連続に心を満たされ放心してるのも束の間、フロアからは早くもアンコールを望む手拍子があちらこちらから起こる。
それに応えて、再びステージに登場したメンバーがアンコールに選んだ曲は“To Live Is”だ。

ここで曲に入る前にVo.のAGからサプライズな報告があった。
「これまでプライベートと音楽は分けてきたけど…。俺、結婚して…息子授かりました!」
突然の報告に観客からはおめでとう!という言葉とともに大きな拍手が贈られた。守るものが増え、「生きるということ」にまた一つ意味が乗せられたAGが歌う“To Live Is”は圧巻だった。

アンコールを終え、メンバーがステージから捌けるまで惜しみない拍手が贈られた。AGの報告もあって、会場内には温かな空気が漂っていた。
NOISEMAKERのライブは音に身を委ねることの楽しさを思い出させてくれて、力強いメッセージで自分を奮い立たせてくれる。そして、自分自身の生き方を肯定するための背中を押してくれる。こんな幸せなことがあっていいのかと、思ってしまうぐらい素敵なライブだ。

会場の出口ではステッカーが配られ、裏面のQRコードを読み取るとそこにはファンに向けたメッセージが。
毎度ファンへの感謝の気持ちを言葉でしっかりと伝えてくれるバンドもそう多くない。本当にこれだけで心が満たされるファンも多いと思う。些細な気配りにもこのバンドの魅力が表れている。

2024年に結成20周年を迎えるNOISEMAKERは、新たな挑戦を用意しているとのことだ。
結成して20年を迎えても、衰えることのない音楽に対する熱量。日頃上手く行かないと感じている人、くすぶってるなと感じている人、そんな人たちに彼らのライブを観てもらいたい。きっと前を向く強さをもらえるはずだ。

NOISEMAKERステッカー

1NOISEMAKER “NO WONDER”(作詞:AG)より歌詞を引用。


〈関連記事〉

関連記事一覧