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ノックド・ルーズ『You Won’t Go Before You’re Supposed To』レビュー

Knocked Loose(ノックド・ルーズ)の新作『You Won’t Go Before You’re Supposed To』が5月にリリースされた。
前作と比べてより攻撃的に、叙情的にアップデートされた本作はまさに傑作!ハードコア好きは必聴である。

Knocked Looseアルバムレビュー |丸くなることを知らない音楽性

Knocked Looseは2013年に結成されたアメリカ・ケンタッキー州出身のハードコアパンクバンドだ。まとまった曲数のリリースとしては2021年のEP『A Tear in the Fabric of Life』以来となる。(2023年にシングル『Upon Loss Singles』をリリースしている。)
コロナ禍前は何度か来日していて、ハードコアイベント・BLOODAXE FESTIVALでヘッドライナーを務めるなど日本にもファンが多い。

このバンド、そして本作の素晴らしいところは、丸くならずにさらに尖り続ける音楽性だ。2023年にはアメリカの巨大音楽フェス・コーチェラに出演したこともあり、これからはより大衆ウケを狙った音楽性になるのでは、と個人的には思っていた。こういったジャンルのバンドはリリースを重ねるとクリーンボーカルを増やす傾向にあるし、それ自体は音楽性が広がって悪いことではないのだが、リスナーとしては少し寂しさや物足りなさを感じることもある。

だが、本作にそういった傾向は見られず、前作よりも音の厚みは増して、息つく暇もなく洪水のような音で殴り続けてくる。ボーカルBryanのシャウトも突き刺すような力強さが増し、むしろ今までで一番攻撃的な印象だ。

M3“Suffocate”ではシンガーソングライターのPoppyをゲストに迎え、バンドの音楽性を維持したまま女性シンガーとのコラボでオカルティックでダークな新しい世界観を見せている。
さらにMotionless in Whiteのボーカルを迎えたメタル要素の強いM7“Slaughterhouse 2”など、バンド本来のアグレッシブな面は強化した上で、ゲストボーカルを迎えて音楽性を広げているバランスが見事だ。

Knocked Looseの音楽は、心を解き放ってくれるような開放感ある気持ちよさが魅力だと私は思っている。本作もその魅力は健在で、しっかりと溜めた後に叫んでブレイクダウンに入るところとかはKnocked Loose節が存分に効いていて気持ちがいい。
丸くなんかならない、落ち着いたなんて思わせない。昂る感情を全てぶつけてくるバンドの新作をぜひ堪能してほしい。

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