Official髭男dism『one-man live 2024 -UNOFFICIAL-』配信画面

Official髭男dism『one-man live 2024 -UNOFFICIAL-』ライブレポート

メンバーが登場するなり、拍手や歓声が起きる会場。藤原聡(Vo/Pf)がゆっくりと「ミックスナッツ」のサビをピアノの弾き語りで歌い始める。

〈ここに僕が居て あなたが居る〉* ──その〈あなた〉の部分で客席を指さす。ステージに藤原、小笹大輔(Gt)、楢﨑誠(B/Sax)、松浦匡希(Dr)がいて、彼らを見つめるファンたちが客席、生配信の画面の向こうに大勢いる。
松浦の合図でサポートメンバーを加えたバンド演奏がスタートし、祝杯をあげるようににぎやかになるステージ。

Official髭男dism、完全復活だ。

『Official髭男dism one-man live 2024 -UNOFFICIAL-』ライブレポート

Official髭男dismのファンクラブ会員限定ライブ『Official髭男dism one-man live 2024 -UNOFFICIAL-』が7月23日に東京・Zepp Hanedaにて行われた。
昨年、藤原が声帯ポリープの療養のためにライブ活動を休止して以降、バンドにとって1年5ヵ月ぶりのライブだ。

同時に、彼らにとっては声出し制限のない状態での約4年ぶりのライブでもある。
「ノーダウト」ではたちまち客席から大きなシンガロングが発生。筆者は今回配信で観ていたのだが、画面越しでもその熱量は十分伝わってきた。
「みんなの声、想像の5億倍」と笑う藤原。それもそのはず、今ライブを観ているのは、彼らの帰りを待ち望んでいた人ばかりなのだから。

バンドの今後の活動としては、翌日7月24日にメジャー3rdアルバム『Rejoice』のリリース、9月からはアルバムを引っ提げたツアー『Arena Tour 2024 -Rejoice-』の開催がすでに発表されている。
MCで藤原は、当初は秋のツアーを復帰ライブとする予定だったと明かした。しかし、「みんなが待っててくれているの伝わっていたから。(スタッフに)無茶を言いました」と、本ライブの開催を急遽決めたのだという。

ファンクラブライブ、加えて次のツアーは『Rejoice』の曲が中心になるということで、ここからは「しばらくライブでやれなさそうな曲も披露していく」と宣言。
そして、「Choral A」「フィラメント」「Rowan」──4人でOfficial髭男dismだと証明するように、楢﨑、松浦、小笹がそれぞれ手掛けた楽曲も披露された。

サポートメンバー・善岡慧一(Pf)の「Pretender」のイントロフレーズを入れたピアノソロに続き、小笹が「イエスタデイ」「Subtitle」のフレーズを奏で、そこから「FIRE GROUND」へなだれ込む。
間奏では小笹と、ショルダーキーボードを持った藤原が向かい合って演奏する。ライブではお馴染みの光景だが、この1年5ヵ月を経た今は感慨深い。

「こんな皆さんとアリーナ行けると思うと高ぶりが凄い」と口にした藤原は、そこから休止期間を振り返っての素直な想いを打ち明けた。
昨年 2月、武道館のライブで声が出なくなってしまい、申し訳ないと思ったこと。でも、SNSなどを見て、待ってくれている人たちがいるなら何が何でも治そうと思ったこと。自分の気持ちに応えてくれる仲間がいたこと。

「一回転んだら、強くなって起き上がってくることを学びました。そうやっていけばミスってもいいんだって」
「自分の心や体が至らなかった時に、その至らなさを悔しさに変えて成長してやろうと、もっと良いライブを観てもらおうと、心の整理ができました」
──そう真っ直ぐに語り、「ラストソング」を届けていく。

これで本編は終わりかと思いきや、「もう一曲やりたい曲がある」と披露されたのは「SOULSOUP」。昨年末に公開された『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』の主題歌だ。
映画のエンドロールで流れていたことにかけて、藤原は歌唱前に「今日君たちと鳴らすことで、俺たちの未来のオープニングテーマにさせてくれませんか?」と伝えた。「皆に会えなくて悔しい想いをした時に作った曲」とも。

もしかしたら、当時の苦しさを完全に忘れることはないのかもしれない。でも、今後演奏し続けることで、曲には新しいドラマが付け加えられていく。この日、大勢のファンの歌声と共に届けられた「SOULSOUP」は、間違いなくバンドの明るい未来を示す希望の歌だった。

アンコールでは「Anarchy」「TATTOO」が披露され、Official髭男dismにとって1年5ヵ月ぶりのライブは終幕となった。

翌日には新アルバム『Rejoice』がリリースされたが、この日のライブでアルバムの新曲はひとつも披露されていない。「次のツアーはアルバムの曲が中心になるから」と理由を説明していたが、同時に彼らは、ここまでの日々を振り返ってきちんと区切りをつけたかったのだと思う。
自分たちのために、待ってくれていたファンのために、この1年5ヵ月を華やかに締めくくること。そして、アルバムリリースと共にまた前を向いて歩いていくための1日だったのだ。

■2024.7.23『Official髭男dism one-man live 2024 -UNOFFICIAL-』セットリスト@ Zepp Haneda

1. ミックスナッツ
2. ノーダウト
3. ホワイトノイズ
4. Choral A
5. フィラメント
6. 日常
7. Rowan
8. たかがアイラブユー
9. FIRE GROUND
10. Laughter
11. ESCAPADE
12. Stand By You
13. I LOVE…
14. ラストソング
15. SOULSOUP
En1.Anarchy
En2.TATTOO

*Official髭男dism “ミックスナッツ”(作詞:藤原聡)より歌詞を引用。

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