UVERworld横浜アリーナ

UVERworld with小笹大輔(Official髭男dism)ライブレポート|この日限りの奇跡の共演

一人の”Crew”が夢を叶える瞬間に立ち会い、思わず目頭が熱くなった。
自分とは縁遠い存在。けれど、想いはきっとそう変わらない。

「上手くいかないことがあっても、それは未来がよりロマンチックになる材料」
そう確信した。だってそれを目の前で見せられたのだから。

2023.4.13 UVERworld with小笹大輔(Official髭男dism)@横浜アリーナ

4月13日、「UVERworld with小笹大輔(Official髭男dism)」が横浜アリーナで開催された。

もともと本公演は「UVERworld “vs” Official髭男dism」として行われる予定だったが、Official髭男dismのボーカル・藤原聡が声帯ポリープを発症しバンドとしての出演が難しくなった。そこでかねてよりUVERworldのファンと公言しているギターの小笹大輔がUVERworldとステージをともにする、”with”というかたちで開催されることになったのだ。

対バン形式を期待していた気持ちもゼロではなかったが、ライブ当日に投稿された小笹の長文ツイートを読んで、俄然”with”形式が楽しみになった。この熱のこもり方にどことなく”UVERworldスピリット”を感じ、一ファンであった彼が憧れのバンドでギターを弾く事実にとても胸が高鳴った。

ライブ当日、会場にはUVERworldのファンだけでなく、小笹の姿を一目見ようとOfficial髭男dismのファンも駆けつけていた。

定刻になってSEが流れる。この日のSEは、アルバム『TYCOON』からだ。
真太郎のドラムソロが会場内に鳴り響き、メンバーが順にステージに登場する。一曲目はサビでのレスポンスが印象的な”AS ONE”だ。一曲目などと関係なしにいきなり会場のボルテージを上げてくる。

「今日がまるで最後のライブかのような!そんな最高な一日を」TAKUYA∞がそう叫べば会場もそれに応えるように歓声を上げる。だが、Crew(UVERworldのファンの名称)はTAKUYA∞が本調子でないことにすぐに気付いたのではないか。叫んだTAKUYA∞の声は裏返り、声自体もいつもよりハスキーな印象だ。前日もライブがあったため、そのダメージが残っていたのかもしれない。連日でライブをやろうが一日二公演やろうが、一切手を抜かずにライブをやり切るのがUVERworldだ。TAKUYA∞の喉が本調子でないことは過去にもあったが、その都度必ず後半で持ち直してきた。その事実を知っているCrewが大半だからこそ、TAKUYA∞の喉の様子に一瞬とまどうような空気感こそあれど、決して沈むことはなく、むしろその全力の姿勢にこちらも応えねばとばかりに一層会場の熱が高まりを見せる。

「こんなもんじゃ、まだまだあの素敵なゲストは呼べねぇぞ!」と、通常ライブの後半に置かれることの多い”IMPACT”を序盤に披露し、会場をどんどん煽る。サビで一斉にコーラスとバウンスをすることでとてもつない一体感と迫力を生み出すこの曲で、横浜アリーナがぐわんぐわんと揺れだす。わずか四曲目ですでにクライマックスかのような盛り上がりだ。

そして五曲目、軽快なイントロが流れ出すと小笹がステージに登場。Official髭男dismの”宿命”をUVERworld with小笹大輔というかたちで演奏した。胸に手を当てたり終始笑顔で演奏したりと、小笹はUVERworldとステージをともにしている喜びを隠しきれない様子だった。

真太郎のMCに入ると、小笹との演奏はほぼぶっつけ本番で行われていることが明かされる。「大ちゃん(小笹)のマネージャーさんから四日ぐらい前にリハやりましょう!と連絡をもらいましたが、我々UVERworld…そのリハを断りました!今日もリハを半分で終了させました」と、先輩の愛ある意地悪を笑顔で話す真太郎。
さらに小笹からは前日にもらったセットリストが開演直前で大幅に変更になったことが明かされた。予定調和でない、その場の化学反応を純粋に楽しむUVERworldらしさが垣間見えた時間だった。

そこからは”CORE PEIDE”や”在るべき形”と、UVERworldのロックナンバーを小笹とともに披露していく。特に”CORE PRIDE”の間奏では、TAKUYA∞が「ギターヒーロー大輔!」と叫んで小笹にギターソロを振る胸熱な瞬間も。先に紹介した小笹のツイートを読んでいたからこそ、このギターソロにはかなりグッときた。

Official髭男dismの名曲”Pretender”のカバーでは、原曲のピアノをギターで弾くアレンジにしており、TAKUYA∞の声がハスキーになっていることからも、よりロックな雰囲気の曲に。”vs”から”with”形式に変わったこと、さらにTAKUYA∞が本調子でなかったことで見られた、まさにこの日限りの”Pretender”だった。

その後もUVERworldはお得意の無茶ぶりを何度も発動。
“Pretender”で小笹の出番は終了だったはずが、「もう一曲やろうよ!」というTAKUYA∞の提案のものと、小笹が初めてUVERworldを知った曲”SHAMROCK”をリクエストし、7人で突如演奏する流れに観客は大盛り上がり。

小笹がステージから去った後も、「喉が治ってきた気がする」と”畢生皐月プロローグ”を急遽追加。ライブの後半には再び小笹をステージに呼び込み、予定のなかった”ナノ・セカンド”を披露するなど、とことんその場の感情、空気感、ノリでライブを作り上げていく。
その唐突な展開が決して雑な印象にならないのは、UVERworldに20年以上積み上げてきた経験や技術があり、さらに仲間やスタッフへの信頼があるからだろう。小笹はそれに遅れをとることなくついていき、特に”ナノ・セカンド”の最後にはオリジナルのギターソロを入れ込むなど、憧れの存在に臆することなく音楽を楽しむ姿は見事だった。

UVERworldは新旧織り交ぜた曲を披露し、2時間のステージをやり切った。

上手くいかないことでも

「上手くいかないことなんて何度だってある。でもそれは、未来で成功したときのロマンチックな材料にしかならない」
この日TAKUYA∞は何度もこの言葉を口にしていた。

これは、今回Official髭男dismが出演できなくなったこと、藤原の喉の療養についてエールを込めて口にしていたものだが、自分自身に言い聞かせていた部分もあったのだろう。
喉が本調子でなかったことに対して、TAKUYA∞自身は悔しいという気持ちが大きかったと思う。

だがそれは、次に完全体のOfficial髭男dismと対バンする時の布石になったとも言える。両者が最高のパフォーマンスでやり合う時、今日があったからよりロマンチックに、ドラマチックなライブになるに違いない。

現にOfficial髭男dismとしての出演ができなくなったから、小笹はwithという形でUVERworldに加わり演奏ができた。一ファン(Crew)であった彼が、憧れの人たちとステージをともにすることはなんとロマンチックな出来事だろうか。人の人生を軽々しくドラマのように見るのは好ましくないが、エンディングで小笹がステージに登場して涙を流しながらTAKUYA∞とハグをしていた姿には、思わず目頭が熱くなった。
バンドとしての出演キャンセルというマイナスな出来事。だがそれが、こんなにも素晴らしいライブを作り出した。

「Official髭男dismとの対バンは必ず実現させる」とUVERworldは宣言した。未来にはもっと素敵な景色が待っていることだろう。
今日のことを振り返って「こんな日があって良かった」と、そう笑顔で皆が語れる日を楽しみに待とうと思う。

2023.4.13 UVERworld with小笹大輔(Official髭男dism)@横浜アリーナ セットリスト
※が付いているのはwith小笹大輔
SE.TYCOON
1.AS ONE
2.Making it Drive
3.THUG LIFE
4.IMPACT
5.宿命(Official髭男dismカバー)※
6.CORE PRIDE ※
7.在るべき形 ※
8.Pretender(Official髭男dismカバー)※
9.SHAMROCK ※
10.One Last Time
11.畢生皐月プロローグ
12.Theory
13.若さ故エンテレケイア
14.バーレル
15.僕の言葉ではないこれは僕達の言葉
16.Massive
17.EDENへ
18.ナノ セカンド ※
19.0choir
20.Touch off
21.One stroke for freedom
22.EN


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