KNOSIS

KNOSIS「DEBUT JAPAN SHOWS」ライブレポート@新宿ANTIKNOCK


「こんな日が来て良かった」
会場にいた誰もがそう思ったのではないだろうか。
もちろん私もそうだ。

4月8日に新宿ANTIKNOCKで行われたKNOSISのライブは、愛と希望にあふれていた。

2023.4.8 KNOSIS DEBUT JAPAN SHOWS@新宿ANTIKNOCK

KNOSIS(ノーシス)は、元Crystal LakeのボーカルRyoが、Survive Said The ProphetのYosh率いる音楽プロダクションチーム、The Hideout Studiosと始めた音楽プロジェクトだ。
3月22日にリリースしたデビューEP『The Shattering』を引っ提げて東名阪のツアーを行い、そのファイナルが新宿ANTIKNOCKで行われた。

昨年9月にRyoがCrystal Lakeから脱退すると発表された時は、本当に悲しかった。
彼のシャウトやパフォーマンスの巧みさにかなうボーカリストはそう多くないだろうし、そんな才能の持ち主が表舞台から去ってしまうのはシーンにとっても大きな損失だと思った。
しかしRyoは、直後に「ステージに戻ってくる」とSNSで宣言した。その宣言通り、わずか3か月後にはシングル”星砕”を発表し、Survive Said The ProphetのツアーでKNOSISとしてステージに戻ってきた。その裏にはYoshをはじめとする仲間の支えが大きかったようだ。

今回の「KNOSIS DEBUT JAPAN SHOWS」はKNOSIS初のワンマンツアーである。
EP『The Shattering』でわずか3曲しかリリースしていないにも関わらず、ツアーは全公演ソールドアウト。Ryoの帰還、そしてKNOSISへの期待の高さがうかがえる。

後方までぎっしりと人で埋め尽くされた中、ギターが鳴り響きライブが始まる。
「KNOSIS!!」
Ryoの咆哮とともに一曲目”星砕”が放たれた。

「待ってた」と言わんばかりに、フロアではモッシュピットが発生する。正直、ギターの一音が鳴るその瞬間まで「今日は後ろでゆっくり観よう」なんて考えていたのだが、一瞬でそんな考えは吹き飛んだ。彼らの勢いを、この音を、体全体で受け止めなければ。そんな気持ちにさせられて、自然と体が前方へ吸い寄せられていた。
〈叫び続けてきた なぜ?この世に名を残すため〉あえて日本語で綴られたこの叫びが響き渡ると、フロアからは歓声が沸く。一曲目からすでにステージもフロアも熱量が半端ない。

KNOSISはそのまま続けて”忌鬼”を投下。
Ryoが手を扇ぐようジェスチャーをし、それに観客が応えることで場内の一体感が強くなる。日本にとどまらず世界でライブをしてきたからこそ、余計な言葉なしで短時間で観客を乗せるのが上手いし、その技量は全く衰えていなかった。

MCに入ると「おかえり!」の声がフロアから次々と湧く。「マジ待ってたから!」という男性の叫び声に笑いが起きるが、思っていたことは皆同じだろう。Ryoが「俺も待ってた!」と返せばまた笑いが起こる。
Ryoのインタビューを読むと、Crystal Lake在籍時は精神的につらい時期が長かったようだ。そんな事実を知ったからこそ、とても和やかな時間が流れていることが奇跡のように感じた。

MCの後は新曲を披露し、さらに未リリースの”神喰”、”火脂”とたたみかける。
特に”火脂”はメタルコアなサウンドながらも叙情的なメロディラインで、後ろからメンバーを照らし出す照明と相まってこれからの希望を感じさせるような美しい曲だった。リリースが待ち遠しいし、また一つ楽しみができたと思った。

後半は「KNOSISに多大な影響を与えたバンドはマシン・ヘッドとヘイトブリードです」の言葉とともに”DAVIDIAN”と”PROVEN”のカバーを披露。
まだ持ち曲が少ないから、という理由でのカバーだそうだが、ルーツを示したことで彼らがどんな表現をしたいのか、何を大切にしたいのかが分かったし、ここから前進していくという気概のようなものを感じられた。

この日Ryoは、何度も「ありがとう」と感謝の言葉を述べていた。それはメンバーに向けて、支えてくれているスタッフに向けて、そしてこの日を待っていたファンに向けてだ。
さらにライブの後にはミートアンドグリートが開催され、ファンが直接Ryoと話せる場が設けられた。Ryoと再会を喜ぶ者、抱擁を交わす者などさまざまだ。それぞれがRyoと目を合わせてライブの感想や気持ちを述べる。Ryoはそれを受け止め、また感謝の言葉を口にする。

こんなにも笑顔ばかりの未来があることを、去年の私はこれっぽっちも想像できなかった。心の底から良かったと思ったし、これから先たとえ望みを失うことがあったとしても、未来に期待したらいい。だって未来にはこんな素敵な日が待っているのだから。そんな風に、この日のライブを観て思った。

ライブは、終始愛と感謝の言葉にあふれ、同時にこれからのKNOSISに希望を感じるものだった。
いい意味で肩の力が抜け、やりたい音楽表現ができているKNOSIS。
これからの彼らの未来に、大いに期待しようと思う。

2023.4.8 KNOSIS DEBUT JAPAN SHOWS@新宿ANTIKNOCK セットリスト
1.INTRO
2.星砕
3.忌鬼
4.DEMOLITIOUS(新曲)
5.神喰
6.火脂
7.暗月(新曲)
8.DAVIDIAN/PROVEN(カバー)
9.狂火

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