『忘却バッテリー』アニメも主題歌も今アツい漫画
4月に入ってから『忘却バッテリー』に夢中になっている。
きっかけは4月9日から始まったアニメだ。以前から原作が好きで読んではいたのだが、アニメ(特にオープニングとエンディング)で原作の解像度が一気に上がり、改めて1話から読み直したところ再燃した、という次第である。
『忘却バッテリー』とは
『忘却バッテリー』はみかわ絵子原作の野球漫画(試合制作:高嶋栄充)で、少年ジャンプ+で連載している。
中学時代、多くの球児たちを絶望に陥れた天才バッテリー、清峰葉流火と要圭。しかし、とある理由からキャッチャーの要圭は記憶喪失になり、野球への興味や知識が一切なくなってしまう上にとてつもない“アホ”になってしまう。かつて天才バッテリーと呼ばれた二人が進学したのは野球部のない都立小手指高校だった。そこでひょんなことから要圭は野球をすることになり、再び清峰葉流火とバッテリーを組んで仲間とともに甲子園を目指す。
…というのがざっくりとしたあらすじだ。
ストーリー自体はギャグ要素が多く、野球が好きでなくても楽しく読むことができる。その一方で、登場人物の巧みな心理描写で、大きく感情が揺さぶられる名シーンがいくつもある。それがこの漫画の魅力だ。
例えば要圭が記憶喪失になった理由には、いくつもの複雑な感情や事象が関係していた。言語化しづらい感情が、的確に言葉と画で作中で表現されている。要圭だけでなく、主要人物それぞれが胸に秘めた想い、辛い過去を背負っているのだが、この漫画は時に名前すらない“何者でもない”一人の高校球児にスポットを当てる。これがただの漫画の中のキャラクターの話とは思えず、読んでいてとにかく感情移入ができて泣ける漫画なのだ。
もちろん肝心の試合シーンの画力、構成も魅力的だ。ボールの軌道に沿ったコマ割りや効果音、迫力のある見開きページに熱い展開。試合の解説も分かりやすく、野球のルールに詳しくない筆者も楽しく読んでいる。
『忘却バッテリー』アニメの主題歌を務めるのは…
さて、そんな熱い漫画のアニメが、4月よりテレビ東京で毎週火曜24時から放送されている。主題歌を務めるアーティストも豪華だ。
オープニングテーマはMrs. GREEN APPLEの“ライラック”で、エンディングテーマはマカロニえんぴつの“忘レナ唄”だ。どちらも今若者に絶大な人気を誇るアーティストである。
オープニングテーマの“ライラック”は、Mrs. GREEN APPLEの本領を感じる爽やかな楽曲。ハイクオリティな作画とあわさってドラマチックに仕立て上げられている。タイトルになっているライラックの花言葉には「思い出」や「友情」という意味があるそう。
エンディングテーマのマカロニえんぴつ“忘レナ唄”では〈遥かな距離より かなめは生き方〉1と、バッテリー二人の名前が歌詞に入っていて遊び心が感じられる。エンディングの温かみのある絵は、サビ部分をすべて色鉛筆(アナログ)で描かれた2というから驚きだ。
1マカロニえんぴつ “忘レナ唄”(作詞:はっとり)より歌詞を引用。
2参照:https://twitter.com/eugene_winter_/status/1780259537485996506
オープニングもエンディングも、曲と絵が原作の世界観を忠実に再現していてさらに魅力を増幅させている。実は原作を読んでいれば苦しく感じてしまうシーンがいくつも盛り込まれているのだが、気になる人はぜひ原作を読んでみてほしい。少年ジャンプ+では初回全話無料で読むことができる(5月7日までは20話分が誰でも何度でも無料で読める)。
原作を読めば曲と映像もまた違った聴き方、見方になるはずだ。
これから高校野球が盛り上がる季節にあわせて、ぜひ『忘却バッテリー』の漫画、アニメ、主題歌をそれぞれ楽しんでみてほしいと思う。
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