UVERworld“Eye’s Sentry”レビュー|歌詞から見えるバンドとしての変化
UVERworldは、いつだって「私が私でいること」の正しさを教えてくれる。その言葉に、音楽に何度救われたか分からない。
“Eye’s Sentry”もそうだ。自分を大切にしよう、そう思わせてくれる一曲だ。
UVERworld“Eye’s Sentry”レビュー
“Eye’s Sentry”は3月6日に発売されたUVERworldの42枚目のシングル。TVアニメ「青の祓魔師 島根啓明結社篇」のオープニングテーマに起用された。
曲はメッセージ性の強いサビから始まる。Saxのリズミカルな旋律がアクセントとなってラップパートを織り交ぜながら駆け抜けていくUVERworldらしいロックナンバーだ。
初めて聴いた時、「またいい曲を出してきたな」と思ったと同時に、近年のUVERworldの変化を感じた曲でもあった。
この曲で歌われているのは、「人に好かれるために無理して自分を偽る必要はない。本当の自分を見せて生きればいい」ということ。
少し前のUVERworldなら、こういったメッセージをシングルやアルバムの表題曲で表明する時は、もっとBPMの速い曲に乗せて「あんな奴らには負けない!自分の思うように生きる!」と自らを強く鼓舞するような表現の仕方をしていたと思う。
だが、本作のメロディや歌声はとても美しく、言葉の一つひとつが心に染みわたっていくよう。〈君を傷つける全てを許さない〉〈遥か遠くで君を見つけて 決めつけて誤解してる奴らの 瞳に映る君すらも守りたい〉1と、想いの向く先は傷ついている「君」だ。
41枚目のシングル“ピグマリオン”がそうであったように、頑張れ、負けるな、と背中を強く押すのではなく、よく頑張っているねと背中を撫でるような優しさ。それがこの曲からも感じられる。
丸くなったとか、そういう話ではない。〈本当の自分を閉じ込めてでも 愛されたいと願う人のため それだけの為に 変わっていければいい〉1と、自分を変えて前へ進むことの大事さ、変わりたいと願っている人の背中を押すことも変わらず歌っている。
がむしゃらに突き進んでいた頃よりも、バンドとしてキャリアを積み、コロナ禍を経て、目の前の「君」をより大切に思って表現するようになった。そういう変化なのだと思う。
傷ついた時に寄り添ってくれる音楽があることは心の支えになる。己を信じて夢を一つひとつ実現してきたUVERworldがその言葉を歌ってくれる心強さは何ものにも代えがたい。
この“Eye’s Sentry”もまた、誰かにとってかけがえのない歌になるはずだ。
1UVERworld “Eye’s Sentry”(作詞:TAKUYA∞)より歌詞を引用。
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