7.29 UVERworld日産スタジアム公演ライブレポート|彼らのライブから受け取ったもの
余韻に浸りながらこの文章を書いている。
7月29日に行われたUVERworldの日産スタジアム公演。素晴らしかった。
どこまでも歩みを止めない彼らだが、同時に変わらない強さを見せられたライブでもあった。
私は時折、2010年の東京ドーム公演を思い返していた。
2010年、あの時感じたもの・彼らから受け取ったものが今も私の中で輝いている。
そして2023年、日産スタジアムでのライブを観て、また新たに受け取ったものがある。
2023.7.29 UVERworld日産スタジアム公演ライブレポート
2023年7月29日(土)、UVERworld初の日産スタジアム公演が行われた。
この日産スタジアム公演は29日、30日の2日間開催され、30日は男性限定ライブの「男祭り」となっている。
動員数は2日間で14万人を超え、バンド史上最大規模のライブになる。
まだ暑さが残る17時、開演時間ぴったりにSaxの誠果が後方のステージに現れ、「DJ誠果」の時間がスタート。
UVERworldの曲や往年のロックミュージシャンの曲が流れ、客席は手拍子をしたりカメラに向かってはしゃいだりと、これから始まるライブが待ちきれない様子だ。
客席が温まる、どころか熱くなったところでSEの“ENIGMASIS”が流れ、ライブ本編が始まった。地上から十数メートルはあるであろう高所のステージにメンバー6人が登場し、一曲目“VICTOSPIN”のメロディが会場内に響き渡る。
曲にあわせて7万2千人の合唱が加わった迫力は凄まじい。まさにこの瞬間、バンドの歴史に残る一夜が幕を開けた。
“VICTOSPIN”を終えてメインのステージに降り立った6人は、そこから“ナノ・セカンド”、“7th Trigger”、“CORE PRIDE”と、メッセージ性の強い、バンドの信念を歌った曲を次々と投下する。序盤から出し惜しみなしの、まさに最強セットリストだ。
「日産スタジアムでライブができるわけがない。しかも2日目は男祭り、できるわけがない。成功した途端、掌を返す者どもに告ぐ。俺たちが、No.1」
2010年の東京ドーム公演で一曲目に披露された“No.1”。あの日から13年経った今、東京ドームより3万人多い日産スタジアムを満杯にし、この曲を演奏している。彼らの変わらぬ熱量を感じさせる選曲に、客席からは歓声が沸く。
「攻め」のセットリストに反して、ステージ横の大型ディスプレイに映るメンバーの表情はどれも笑顔だったのがとても印象的だ。普段あまり感情を表に出さない彰(Gt.)がにこやかに演奏していると嬉しくなるし、MCで話したくてウズウズしている信人(Ba.)や、「何かが120%を超えている」と興奮して話す克哉(Gt.)など、メンバーがこの大舞台を純粋に楽しんでいる様子が伝わってきた。
ライブ中盤からは後方のステージに移動し、2007年にリリースした“モノクローム~気付けなかったdevotion~”を、16年の月日を経てライブで初演奏。Vo.TAKUYA∞には血の繋がっていない祖父母がいて、この曲は亡くなった祖父に向けて作った曲だ。「今後もライブでは演奏しない。俺だけの曲にしていく」と、より一層感情を込めて歌い上げる。「無償の愛」を心を込めて歌うTAKUYA∞を真太郎のドラムが力強く支え、ドラマチックな演奏に涙を拭う観客も多かった。
日が沈みはじめ、正面のメインステージに戻ってからは、最新アルバム『ENIGMASIS』の曲を立て続けに投下。“ENCORE AGAIN”ではBE:FIRSTのSHUNTOがステージに登場し、艶やかな声でTAKUYA∞との掛け合いを披露した。
夜になると幾重にも重なるステージの照明と、観客が手首に付けているライトの連動がとてもきれいで、何度も会場全体を見渡してしまった。観客も一緒になってあのライブを作り上げていたのかと思うと、今振り返ってもとても嬉しく感じる。
13年前と現在、UVERworldからもらったもの
ライブ終盤に差しかかると、バンドとファンの関係性についてTAKUYA∞が語る。
これまでUVERworldと一緒に仕事をするのが夢だ、という人と何人も出会ったとTAKUYA∞は言う。「俺たちの人生は紛れもなく俺らだけのもの」だが、UVERworldはもはや人の夢を叶えているのだ、と。このバンドはあなたの人生でもあり、俺たちがバンドをやめることはない、だから夢を叶えにこい、と。
この言葉を聞いて、私の中では13年前の東京ドームの記憶が蘇っていた。
13年前のあの日、高校生だった私は素晴らしいライブに感銘を受け、そして「自分の夢を口に出せ」というTAKUYA∞のMCを聞き、「音楽雑誌の編集者になる」とステージを観ながら誓ったのだ。
その後いろいろな経験を得て、やりたいことを探した結果、今は異なる職業に就いている。
もちろん今の仕事にやりがいや楽しさを感じている。だが、昨年とある出版社の音楽ライター講座を受講し、今年に入ってこのWEBサイトを開設した。結局私は、音楽に関する文章を書きたい、届けたい、という願望が心の中にずっとあって、離れられなかった。本当に好きなものって変わらないんだ、なんて思ったりもした。
だから私は、このMCの後に披露された“THEORY”を聴きながら「いつかUVERworldと仕事をする」ことを目標にしよう、と自分の心の中に刻み直した。
一度は自分から遠ざけた夢だが、結局離れられないのならもう一度目標に据えてみようと。
つくづく、UVERworldは人を動かす力を持っているなと感じる。というよりも、こうも本気で生きている人たちを見ていると、何もしていない自分が嫌になるのだ。
「こんな風にステージに向かって決意を固めるのは、13年前と一緒だ。少しは成長しないと」なんて思いながら、“THEORY”にあわせて打ちあがる花火を見ていた。
最後は、本当にメンバー自身が納得のいったライブでしかやらないと決めている”MONDO PIECE”を披露。この曲も13年前の東京ドームで流れていた、私にとっては思い入れのある曲だ。
会場全体が体を揺らしながら一体となって歌い上げ、日産スタジアム公演の初日は幕を閉じた。
終演後、一人ひとり言葉を述べるメンバーの表情はどれもやり切った顔をしていて、この日のライブは大成功だったと言えるだろう。
新しい時代に足跡をつけたUVERworld。そして、その先の未来にも足跡をつけると宣言したUVERworld。
私も置いていかれないよう必死にしがみついていこう。そう思った一夜だった。
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