音楽イメージ

フォール・アウト・ボーイ『So Much (for) Stardust』レビュー

フォール・アウト・ボーイ8枚目のアルバム。前作から約5年ぶりとなる本作は、爽快感のあるメロディックパンクな一枚に仕上がっている。前作『MANIA』はエレクトロ要素やEDMのような曲も目立っていたが、今回はバンド初期を回顧させる。というのも、今作はデビュー作をリリースしたレーベル・Fueled by Ramenから出されており、プロデューサーには初期作を手掛けたニール・アヴロンを迎えて作られたという。その制作環境もあっての仕上がりなのだろう。

一曲目“Love From The Other Side”から拳を突き上げて体を音に委ねたくなるようなノリのいい曲。初期を思い起こさせる、と言ってもいい意味でトゲトゲしさがなく丸くなった聴きやすさがある。
バンドサウンドにストリングスが加わるが、決して大袈裟な感じはせず、あくまでバンド主体の気持ちのいいギターロックが続く。

中盤になるとVo.パトリックの高音が気持ち良く響くミドルバラードの“Heaven, Iowa”や、開放的な明るさのある“So Good Right Now”、ほんの少し不気味さがあり壮大なオケが印象的な“I Am My Own Muse”があり、バラエティに富んでいる。

フォール・アウト・ボーイは過去何度も来日し、日本にも多くのファンがいるし、日本のバンドに大きな影響を与えているはず。聴いていると2010年代の日本のメロコアやラウドロックシーンが思い起こされ、思わぬかたちで懐かしい気持ちにさせられたりもした。

夏の抜けるような空にぴったりな開放感のある本作をSUMMER SONICでどう演奏するのか気になるところ。往年のファンも普段邦ロックを聴いているようなキッズも気に入ること間違いなしの一枚なので、この夏は『So Much (for) Stardust』とともに過ごしてみてはどうだろうか。

【この記事を読んだ方にオススメ】

関連記事一覧